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トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の日本車主力3社の比較優位は一段と拡大する可能性が高く、世界市場での存在感は一層強まる見込みです。
2番手群の各社もともに存在感を増すと思われますが、特に、スズキの長期的な成長力が高いと考えられます。
日本車の世界生産台数は2005年の2,146万台から、5年後の2010年には約2,640万台に達すると試算されます。
その時点で、世界生産シェアは35%を超えるでしょう。
2010年までに、日本車メーカーは、概算400万台の海外生産能力を増強する方向です。
地域別では、中国で160万台、北米で100万台、その他地域で140万台の生産能力増強が続く見通しです。
生産能力の増強と合わせ、サプライチェーンもより高いレベルで再構築を迫られます。
新生産システムの導入を継続し、①柔軟性、②投資効率、③製造品質の3点の向上に力点を置かなければなりません。
工場新設を自転車操業的にこなすだけでなく、海外オペレーションの「自立化」を確立するステージに移行するわけです。
事業のサステイナビリティ(持続可能性)やリターンの向上に向け、開発領域、品質要求、流通改革などの複合的な価値改革に取り組む必要性が高まるのです。
これを受け、コスト削減策も新たな領域に入るでしょう。
トヨタ自動車が2008年を目処に実施を掲げる「バリュー・イノベーション(VI)」は、調達システムの変革と部品コスト削減を引き起こすダイナミズムがあり、バリューチェーンの変化や、システム・サプライヤー同士の整理統合を進め、大きなグループ改革を起こす可能性があります(第5章参照)。
トヨタ自動車は、世界シェア15%獲得に向けた長期経営ビジョンに基づいて、5年刻みの中期戦略プラン「クローバル・マスタープラン(グロマス)」を構築してきています。
会社側が計画を対外的に公表しないため、一般的にあまり知られていませんが、株価を評価する証券業界や自動車部品産業では有名な計画です。
2003年にスタートした現「グロマス」は、最終年2008年を2年も前倒しして計画台数740万台(ダイハツ工業と日野自動車を含むグループペースでは約840万台)を達成しました。
そこで新たに、2006年を起点として2010年までの次期5ヵ年の「グロマス」の策定が進められています。
筆者は2010年では約1,000万台、ダイハツ工業と日野自動車を含むグループベースで約1,100万台の大台に接近する公算が高いと考えています。
この勢いのある数量成長の中で、トヨタ自動車はGMを抜き去り、名実ともに、世界の自動車産業の盟主へ浮上すると思われます。
トヨタ自動車が構築する2010年までの「グロマス」における成長ドライバーには、次の3つの重要なポイントがあります。
製品軸で「レクサス」、ハイブリッド、米国ライト・トラック、小型車、地域軸では、米国に加え、中国、インド、ロシアのBRICs諸国があります。
先にも触れましたが、「バリュー・イノベーション(VI)」と銘打った新たなコスト削減策の効果が2008年からの新型車に発揮される見通しです。
設計段階からモジュールシステムの機能統合を目指し、部品点数やサプライヤーの開発重複を大幅に削減する、トヨタ自動車の全く新しいコスト削減活動です。
世界的に拡販を狙う小型車の商品力とコストの競争力を高める取り組みに最も重要な成果を生み出すでしょう。
ハイブリッド車100万台体制を構築するため、画期的なコスト改革を実現する新ハイブリッド・システム(THs-m)の導入が2008年の「プリウス」モデルチェンジで実現する方向です。
バイオ・フューエルなど代替燃料内燃機関の普及促進、障害物制御のような通信系技術を積極的に推進する可能性もあります。
「日産バリューアップ」は、2009年3月期までに420万台の世界販売を目指し、世界トップレベルの収益性と20%以上の自動車事業ROIC(投下資本利益率)を目標とする、「日産リバイバルプラン」、「日産180」に続くコーンCEOの意欲的な中期経営計画です。
「日産バリューアップ」の最大の特徴は、世界的な販売の「面的」な拡大にあり、それはグローバルローンチ(世界同時発売)の多さに表れています。
グローバルローンチ数は70へ拡大し、米国偏重型の「日産180」とはその特徴を大きく変えています。
小型商用車の採算性と台数向上や、低コスト調達先の拡大による購入部品の原価低減など、新たなブレークスルーが数多く盛り込まれています。
2006年の年央社長会見において、ホンダは2007~10年度にかかる次期中期計画の成長目標と商品戦略を示しています。
慎重なスタンスから、明らかな戦略シフトが見られ、今後5年間の四輪車販売台数成長を年率5%強(339万台→450万台以上)とする意欲的な目標を掲げました。
ディーゼルエンジン、ハイブリッドエンジン、高級ブランド「アキュラ」などの商品展開を強める方向です。
果敢な新規工場建設にも打って出ます。
世界合計で50万台の工場増設を実施、現有設備のフル稼働化と合わせ、80万台以上の製造能力をひねり出す考えです。
過去にホンダは設備投資を控えすぎた傾向がありました。
同時に、乗用車設備能力を削り、ライト・トラックへの積極投資を進めたことで、汗台)9次中計(07年度)10次中計(10年度)米国を中心に乗用車とトラックの供給力のアンバランスという問題を抱えています。
加えて高級ブランド「アキュラ」に対する投資不足からの商品競争力不足という問題もあります。
この結果、エンジンは慢性的な供給不足に陥り、米国では消費者の乗用車回帰への潮流をフルに享受できていません。
現在の同社のエンジン供給力不足は深刻のようです。
当面は、エンジンのボトルネックを解消し、2008年に米国で、2010年に日本で、合計40万台の完成車生産能力をアップし、成長のギアアップを狙います。
ホンダの中期成長戦略にはいくつかの重要ポイントがありそうです。
第1に、非常に高い設備投資効率を狙っていることです。
ホンダが打ち出した日米での新完成車工場は、従来の工場施設と比較して、設備投資効率・工場要員効率でともに25%の改善を狙っていると見られます。
同社はすでに非常に高い投資効率を持つと考られていますので、そこからさらに大幅な改善を狙うということは、世界的に高いベンチマークを築くことになるでしょう。
また、製造プロセス、使用素形材など、全く新しいコンセプトを導入する可能性が高いことが想像されます。
第2に、新しい生産体質の改革に取り組み、コスト削減推進と効率改善を実現することです。
2010年の日本新工場には、革新的で新しい取り組みがフルに盛り込まれる可能性があります。
新たな調達システムの構築も予想されます。
世界的シェアアップを続ける日本車メーカーの地位向上が、自動車の国内生産活動を活発化させており、往年の自動車生産大国としてのわが国の地位を回復させてきました。
国内生産台数は2001年度の980万台を大底に増産に転じ、今後も年率2~3%の安定成長が見込める状況です。
国内生産の国際コスト競争力は依然高く、特に、プレミアムカー、ハイブリッド車、スペシャリティカーなどは、日本での車両生産が引き続き優位性を持っています。
国内生産システムが持つ品質の高さや生産変動に対する柔軟性の高さは、日本車の海外販売の需給調整弁として重要視されます。
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